人体通信の進化(第2世代へ)

第1世代 人体通信 (2007年~)

 2007年に開催された CEATEC 2007 で、アルプス電気とNTTドコモが人体通信の展示を行いました。これらは、人体通信モジュールには、人体に対向したホット電極と基準電極を得るためのコールド電極を用いた電界方式の人体通信によるものでした。これを本ホームページでは「第1世代 人体通信」と呼ぶことにします。

[第1世代 人体通信の製品を販売した企業]

・ アルプス電気 「電界通信モジュール

・ NTTエレクトロニクス 「RedTacton(Firmo)

・ アドソル日進 「タッチタグ



第2世代 人体通信 (2015年~)

 CEATEC 2007 で人体通信が紹介されてから8年経った 2015 年頃から「進化した人体通信」の製品が発表されました。この 2015 年以降の製品に採用されている人体通信技術を、本ホームページでは「第2世代 人体通信」と呼ぶことにします。




[第2世代 人体通信の技術]




平衡(差動)伝送 電界方式 人体通信


 IntroMedic (韓国)は、同社のカプセル内視鏡(MiroCam)における体内と体外の通信に人体通信を採用しました。

 体内と体外との人体通信は、In-body Communication や Internal Human Body Communication と呼ばれています。しかし、人の体内では大地に向けたコールド電極を用いることができず、基準電位が取りづらいため、IntroMedic のカプセル内視鏡では、Galvanic Coupling による平衡(差動)伝送の通信を行っています。平衡(差動)伝送では、送信側、受信側にそれぞれ2枚の電極を設けます。送信機側では、その2枚の電極の1枚には送信信号、もう1枚には電圧の極性が反転した送信信号を引加します。

 受信機側で2枚の電極で受信した平衡(差動)伝送の信号を減算しますと、通信経路で双方の伝送路に飛び込んでくる雑音は抑圧された通信の信号成分が得られます。また、平衡(差動)伝送の信号を加算しますと、良質とはいえませんが、受信機側での基準電位を再生することができます。





人体通信と RFID との融合


 すでに普及している 13.56MHz の RFID の磁界による通信部分を、人体通信対応の電界通信に変換するアダプタが製品化されています。

 日本信号は個人認証には電界方式による人体通信が適していると考えました。そこで、NTT の研究所より技術ライセンス を受け、2009年頃から製品化の検討を始めました。この製品は、(elefin) として販売されています。





コールド電極の代わりに 1/4波長 オープンスタブを用いる



 第1世代 人体通信では、基準電極を得る大地に対向しているコールド電極は、特にウェアラブルな人体通信機器の場合、人が動くとコールド電極と大地間の静電容量が変化し、通信の不安定さを生じていました。eNFC は、コールド電極の代わりに 1/4波長 オープンスタブ を利用した特許を出願しています。





電極に手を近づけたときだけ電源が ON する


 アンプレット通信研究所は、消費電力を小さくする人体通信の技術として、送信機と受信機の電極に手を近づけたときだけ電源が ON する技術を確立しました。

 ZigBee や Bluetooth などの近距離無線システムでは、送信側からいつ電波が飛んでくるかわかりません。そこで、受信機の電源を常時 ON にしていると、消費電力が非常に大きくなってしまうため、間欠受信技術が導入されています。

 人体通信は人が電極に手をかざしたときだけ通信できれば良いので、電極に人が近づいたときのみ、静電センサの技術で受信機の電源を ON にすることにより、超低消費電力化を図りました。

 この技術は人体通信の 受信機 のみならず、人体通信の 送信機 にも応用ができるため、人体通信の特性をうまく利用したシステムといえます。


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