人体通信のホームページの開設にあたり    工学博士 根日屋 英之

 みなさま こんにちは。アンプレット通信研究所 / 人体通信コンソーシアム(HBCC) の 根日屋 英之 (ねびやひでゆき)です。人の体の周りにまとわりついているように存在する静電気を用いた近距離無線通信の一方式の「人体通信」に関するホームページを開設しました。

 人体通信(電界方式)は、人体に電流を流さず、人体の表面に発生する電界の変化を利用して情報を伝達する近距離無線です。そのため、人が直接、電極(非常に近距離の無線通信なので、大きな無線通信用のアンテナは不用で、小さな電極で通信できる)に触れる必要はなく、手を電極にかざすだけで情報の伝達が可能です。

 人体通信というと、ビビッと感電するのではないか・・・という印象をもたれてしまうかもしれませんが、どうぞご安心ください。人体通信は人の体とその周辺にある物との間に存在する電界を用いた通信ですので、人の体の中には電流が流れません。

人体通信について

 無線通信は、無線機器を扱う人から無線端末までの距離で分類されています。人から 100m くらいの通信距離を有する無線システムは「WLAN(Wireless Local Area Network)」に分類されています。これは、通称「無線LAN や WiFi(業界団体規格名)」と呼ばれ、みなさまもよくご存知と思います。人から 10m くらいの通信距離を有する無線システム(Bluetooth や ZigBee など)は「WPAN(Wireless Personal Area Network)」に分類されています。

 最近、話題のウェアラブル端末は、人から 2~3m くらいの通信距離を有する無線システムで「WBAN(Wireless Body Area Network)」に分類され、通称「人体通信(HBC : Human Body Communication)」と呼ばれるようになりました。

人体通信への誤解

 人体通信というネーミングから、このシステムを 誤解 されている方もおられます。人体通信(HBC、WBAN)は単に通信距離から分類された人体近傍(Body Area)における近距離無線の一方式呼称です。

 「Body Area」を日本語で「人体」に対応させただけですので、人体通信技術を用い 人の思考を読み取るようなことや人を洗脳することは、理論的にも技術的にもできません。普及している電界型の人体通信は、人体と装置の間の空間に存在する電界を用いた通信ですので、人が感じるような電流を人体に流すこともできません。人体通信を安心してご利用ください。

人体を介して情報通信

 人体を伝送媒体として通信を行う人体通信に注目が集まっています。人体通信はセキュリティ性が高く、送信電力が少ないことが特徴です。

 また、人体通信の通信機器は、筋電位や心電情報などの生体情報センシング機器の電極や回路と構成が似ていることから、人体通信機器を用いた生体情報の取得が提案され、遠隔医療やヘルスケアなどの医療ICT分野での応用が期待されています。

 2018年3月19日 ~ 21日に東大病院、リコー、アンプレット通信研究所で開催された 第8回 日・韓 合同 人体通信研究会 では、プリンタブル回路、人体通信用半導体の開発、インプラント機器の病院での使用状況と国際標準規格動向、第2世代人体通信の技術動向、ワイヤレス給電技術などの人体通信応用についての講演とディスカッションが行われました。

人体通信コンソーシアム(HBCC) 標準 人体通信評価キット

 人体通信技術を用いた製品を開発するときに技術課題となるのは、筐体に実装する電極の設計と受信電界強度を測定しながらの最適な電極の配置位置を決定することです。しかし、人体通信の電界強度を測定する測定器には市販品はなく、また、個々の実験グループが人体通信の伝搬に関する測定データを比較するときに、共通の人体通信送信機、受信機、電界強度計を用いたいところです。

 そこで、人体通信コンソーシアムでは、人体通信機器の研究、開発、設計をしている技術者の間で、各々が測定した人体通信の伝搬に関するデータを比較できるように、人体通信コンソーシアム(HBCC)標準の安価な送信機、受信機、電界強度計を 準備 しました。


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